たまたまオーストラリアから戻る飛行機の中で隣になった方が、国内の大手重工メーカーで、大型機械の油圧ポンプや駆動系の営業の仕事をしているサーファーでした。
さて、彼の取り扱う商品でCO2の削減に取組んでいるものはあるのかと聞くと、エネルギー効率は高める努力は結構しており、そういった商品もラインアップにはあるそうです。
しかし、効率がよく省エネのタイプの商品は良い燃料でしか動かないため、その良い燃料が追加コストとなってしまい、中国などの発展途上国では敬遠されてしまうという。
結局、発展途上国では、燃料効率が悪かろうが、激安の粗悪な燃料でも動作する、安い商品が選ばれてしまい、粗悪燃料で利用されて、CO2, NOx, SOx も出し放題となる。
「なんだか心は痛むんですけどね、仕方がないんですよね…」、と寂しそうに彼は言う。
まぁ、そりゃそうですね。
大気汚染を引き起こすとわかっていても、お客さんに売らないとは言えない。
うちが売らなくても、結局誰かが売る、ならば売ってしまえ、となりますよね。
結局、発展途上国では、先進国と同程度の厳しい規制がないところが多いために、このようなことが普通におきてしまうのですが、このあたりの規制の差は全てその機械を利用して生産する商品の金銭的な製造コストの違いとなって反映されていくことになります。(本当のところは地球が文句も言わずに環境負荷のコストを負担しているので、そう見えるというだけなのですが。)
さらに、商品を買う側(消費者やビジネス)は当然のごとく、別に製造プロセスは全く評価しない。日本で作られた材料でも、発展途上国で作られた材料でも関係なく、ましてや、CO2の排出量も環境負荷も関係なく、最終的な商品の質と値段だけで選択していきます。
さて、話を戻しますと、産業界的には、
「おいおい、国の目標を決めて規制するのはいいけど、そこのところなんとかしてくれないと、グローバル経済下で、コスト競争力のあるものが、なにも作れなくなっちゃうよ」
という声が以下のような反応になるのでしょう。(Yahoo!ニュースより)
「4%増」が妥当=温室ガス中期目標で-経団連
日本経団連は12日、京都議定書に基づく温室効果ガスの削減期間(2008-12年)が終了した後の新たな中期目標について、先に政府の有識者検討委員会が示した6案のうち、20年の排出量を1990年比で4%増(05年比4%減)とする第1案が妥当だとする意見書をまとめた。
有識者委は20年の排出量を90年比で「4%増-25%減」とする6案を提示していたが、経団連は削減度合いが最も緩い目標案を選んだ。
一瞬、
「4%増??、CO2を減らさないといけないと言っているのに、目標が増えているって、一体全体どういうことよ!!」
と思いますが、早い話が…
「発展途上国が経済成長を続けて物的に豊かな生活を求める過程で、同じ商品作るなら、日本が作った方が、発展途上国が作るよりも少ないCO2排出量でできるのに、なんで今優等生の私たちが目標の総量を減らさないといけないわけですか?
どうせ作るのなら私たちに作らせてくださいよ」
というわけです。
さあ、CO2の絶対量は減らさないといけないけど、日本のここの事情との折り合いは、どうつけたら良いのでしょうか?
少なくとも、大した資源もなくて、小さい島に過剰な人口がいる日本では、世界に買ってもらえる、「ものづくり」が規制によってできなくなったら、まぁ、国力という意味では衰退の一途をたどりそうですからね。
この続きは次回ということで。
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